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最高裁判所第二小法廷 平成11年(行ツ)156号 判決 2000年12月15日

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別紙当事者目録記載のとおり

右当事者間の福岡高等裁判所平成5年(行コ)第1号戒告処分取消請求事件について,同裁判所が平成10年11月20日に言い渡した判決に対し,上告人らから上告があった。よって,当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人立木豊地,同尾山宏,同槙枝一臣,同川副正敏の上告理由第1点について

地方公務員法37条1項の規定が憲法28条に違反するものでないことは,当裁判所の判例(最高裁昭和44年(あ)第1275号同51年5月21日大法廷判決・刑集30巻5号1178頁)とするところであり,これと同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用することができない。

同第2点並びに第3点及び第4点のうち適用違憲の判断基準の適用の誤りをいう部分について

原審の適法に確定した事実関係の下においては,本件ストライキの当時,地方公務員の労働基本権の制約に対する代償措置がその本来の機能を失っていたとすることはできないとした原審の判断は是認できる。所論違憲の主張はその前提を欠き,論旨は採用することができない。

その余の上告理由について

民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは,民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,右上告理由は,違憲及び理由の不備・食違いをいうが,その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって,右各項に規定する事由に該当しない。

よって,裁判官河合伸一,同福田博の補足意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

裁判官河合伸一,同福田博の補足意見は,次のとおりである。

私たちは,法廷意見に賛成するものであるが,なお,上告理由第2点並びに第3点及び第4点のうち適用違憲の判断基準の適用の誤りをいう部分について次のとおり付言しておきたい。

本件ストライキの当時,地方公務員の労働基本権の制約に関する代償措置がその本来の機能を失っていたとまでいうことはできないことは,法廷意見の述べるとおりであるが,人事院勧告の凍結という事情が争議行為等の禁止違反に対する懲戒処分において懲戒権濫用の成否を判断するに当たっての重要な事情となり得ることは,最高裁平成7年(行ツ)第132号同12年3月17日第二小法廷判決・裁判集民事197号465頁の補足意見において述べたとおりである。

(裁判長裁判官 河合伸一 裁判官 福田博 裁判官 北川弘治 裁判官 亀山継夫 裁判官 梶谷玄)

当事者目録

上告人 浅井宣隆

上告人 坂口典生

上告人 島﨑寛男

上告人 浦田修行

上告人 中満敬一

上告人 永溝法子

上告人 村下洋一

上告人 松田道雄

上告人 井上仁美

上告人 宮川愛德

上告人 矢羽田忠

上告人 田崎典夫

上告人 髙橋章夫

上告人 緒良中玉枝

上告人 新垣慶男

上告人 魚住光二

上告人 椎葉廣樹

上告人 永溝晋介

上告人 松岡憲一

上告人 杉村健一

上告人 光永新治

上告人 福山正範

上告人 中島高松

上告人 藤本一眞

上告人 今泉克己

上告人 増永周一

上告人 吉田恪

右27名訴訟代理人弁護士 立木豊地

尾山宏

槙枝一臣

川副正敏

被上告人 熊本県教育委員会

右代表者委員長 今村潤子

右指定代理人 大岡圭

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